対人恐怖症の原因とは?
一口に対人恐怖症の原因といっても、それは人それぞれだと思います。人それぞれ育った家庭環境も違いますし、価値観も違いますから。
ただ、対人恐怖症の方には多くの共通点もあります。まずは、その共通点について見てみましょう。
こうあるべきだという考え方
その共通点の1つは簡単に言うと理想が高く、自分の思い描いたものが手に入らない場合は苦しむ・・・という点ではないでしょうか?
理想が高いだけでなく、物事は「○○○であるべきだ」という考え方を持っていることが多いようです。
普通は、「こうあるべきだ」と思うことがあっても、そこに強く執着したりせず、「こうなったらいいのになぁ」程度に思っています。
一方、対人恐怖症の方の場合は、「こうあるべき」という強い理想や考え方を持っています。
それは例えば、仕事などのシーンでは、「こだわりを持っている」「信念を持っている」と評価されることもあると思います。
それは悪いことばかりではないわけですね。
ただ、その「こうあるべき」という考えに強く執着してしまうと、その考えに自分がとらわれてしまって、結果的には自らを苦しめてしまうことになります。
というのも私達が住む世界というのは思い通りにならないことが多く、中には不条理と思えることも多くあるからです。
ですから、「こうであるべきだ」という考えが強くなればなるほど、理想とのギャップが大きくなり、その結果、その違いに疲れてきたり、自分を否定したり、他人が怖くなったりすることがあります。
対人恐怖症の原因というのは、自分の中にある「こうでなければならない」という思いとその考え以外は自分を許さないある種の執着する心なのだと思います。
生まれ持った性格なの?
対人恐怖症は性格が原因でしょうか?
性格が原因の可能性もあると思います。
性格だったら、もう変えることができないじゃないかと思う人もいるでしょう。
ただ、多くの人達が対人恐怖症を克服しています。ということは性格は変えられるということだと思うのです。
ただ、私が思う性格というのは、みなさんが思う性格とはちょっと違うと思います。
みなさんは性格ってどんなものだと思っているでしょうか。それは持って生まれたものだと思っている方もいるでしょうね。
ただ、私は性格とは習慣を束にしたものだと思っています。
人は不思議なことに、例えば、こんな時にはこんな風に考えるということが習慣になっていて、無意識の間に、この時、こんな風に考えるということをしています。
ただ、時間はかかりますが、それを意識して変えることを実践してゆくと、それが習慣になって、何かが起こった時にそれまでとは別の考え方が浮かんできて、それによって感じ方も変わる、ということが起こるのです。
もっとも、性格のすべてを変えることはできないでしょう。生まれ持ったものも少なからずあるようです。
ただ、それ以外の部分(性格)は自分次第で、自分の実践次第で変えてゆくことができます。
対人恐怖症を克服した人がいるのはその証拠だと思います。
過去よりも今何をするか?
対人恐怖症で悩むようになると、過去のあの体験が原因なのではないかと考えたくなるものです。
親のせいではないか、あの時あんなことを言ってきた人が原因だ、などなど。
そのきっかけになった、または引き金となった原因を知ることは大切なことだとは思います。
ただ、それをわかっただけで、対人恐怖症を治した人を私は知りません。私自身も原因を知ることから対人恐怖症を克服したわけではないのです。
大事なのは、過去の原因を知ることよりも、今の自分を自分なりに受け止めて、今、自分を変えるために何を実践してゆくかということなのだと思います。
私は対人恐怖症で苦しんでいた頃、治す方法ばかり探していました。
私にとって、医師に診てもらったり、本を読んだり、そういうこともとても大切なことだったと思うのですが、私は誰かに頼っていました。
誰かに治してもらおうとしていたのです。
だけど、そうすることで私の対人恐怖症は治ることはありませんでした。
そうやって何年もの時間を費やしてやっとわかったことは、何かを教えてもらうだけでは、何かを知るだけでは対人恐怖症を治すことはできないということです。
私に足りなかったのは、自分を変えるために実践すること、そして、その実践を続けてゆくことだったのです。
必要だったのは、誰かのせいにすることでも、うまくやれない自分を責めることでもありませんでした。
ただ、今、勇気を持って自分を変えるために実践を続けてゆくことだったのです。
対人恐怖症は治せます。
そう、今の自分の考え方、物事の捉え方を変えてあげることで色々な物事がまるで違うものに見えてきます。